ジェイミー・バートレット(People vs Tech)

AIとロボット技術が結合したスマートマシンの興隆で、人間の倫理的判断能力が矮小化され、前近代的な部族政治がふたたび姿を現すのだろうか。それとも休息を必要とする人間労働が、超効率的なロボットに置き換えられることで大量失業が生じるのか。 どちらにせよ、民主主義はあらゆる面で脅威にさらされ、すでにおなじみとなった脅威も存在する。見慣れない姿をまとっていても、怒りの政治、失業問題、市民の無関心はとりたてて真新しい問題というわけではない。しかし、まったく見たこともない脅威がこれから現れてくる。 スマートマシンが人間の意思決定に置きかわり、私たちには完全に理解できそうにない手段による政治的選択に変貌する。不可視のアルゴリズムが、目には見えない権力や不正の源泉を新たに生み出していく。世界がますます結びついていくにしたがって、少数の悪党でも大規模なダメージや危害を引き起こすことが容易になるはずだし、時には司直の及ぶ範疇を超えてしまうケースも少なくないだろう。こうした問題にどう対処すればいいのか、私たちにはその手がかりさえない。